目次
1・会社の名前や住所について
会社を設立する上で重要な会社の名前(商号と言います)ですが、これには決まったルールがあることをご存じでしょうか?
「印象に残る名前にしたい」
「格好良い名前にしたい」
「覚えやすい名前にしたい」
「個人事業時代」から使っている名前にしたい」
など悩みは多いでしょうが決められたルールを守らなければ会社の設立をする事ができません。
名前や住所のルールとは
- 株式会社を設立する場合は必ず「株式会社」の文言をいれる
- 会社の名前に使用できる文字には決まりがある
- 道徳に反する言葉やわいせつな言葉を会社名とする事はできない
- 他の会社と同じ住所、同じ名前ではダメ
まず、会社の名前ですが前か後ろに必ず「株式会社」を入れなければなりません。
株式会社〇〇〇〇か〇〇〇〇株式会社となります。
前者を前株と呼び後者を後株と呼びます。
それから、会社の名前に使用できる文字には決まりがあり、
「?、!、@、*、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」などの文字を使うことはできません。
また、使用できる文字は
- ひらがな
- カタカナ
- 漢字
- ローマ字
- アラビア数字(0から9までの文字)
- &、・(中点)、.(ピリオド)、-(ハイフン)、’(アポストロフィー)、,(コンマ)
です。
ただし符号は字句を区切る際にのみ使用が可能となっています。
道徳に反する言葉とは詐欺、盗品、密輸、脱税、恐喝などの使用はできません。
あえて使いたい人はいないと思いますが・・・わいせつな言葉はこちらに書いてしまうと私のHP自体が問題となってしまうので省略させていただきます。
会社の住所
会社を設立するにあたって、住所も大事な事項になります。
会社の住所で気をつけなければならないことは「その住所に他の会社があるかどうか」それと「その地域に同じ名前の会社があるかどうか」です。
同一住所には同じ名前の会社を作ることはできないと定められていて、例えば、北海道旭川市1条通1丁目1番1号に株式会社ABCという会社があるとします。
もうこの住所には株式会社ABCと言う会社を作ることはできません。
同じ住所に2つの会社?と思うかも知れませんが、ビルなどの大きい建物であれば複数の会社が入っている場合もあるので、注意が必要となります。
住所の枝番が違えば同じ名前の会社を作ることはできますが、先に存在している会社から名前の使用差し止め等の訴訟問題に発展する可能性もあるので、同じ名前または類似している名前は使わない方が良いでしょう。
会社の本店とは
会社の住所がある場所のことを「本店」と呼び1つの会社に対して1つの本店を決める必要があります。
本店は実際に事業活動をしている場所以外でも良いとされています。
例えば、自宅を会社の本店として登録して、実際に仕事をする場所は自宅以外の場所も問題ありません。
ただし、あまり離れている場所に本店を設置してしまうと、金融機関の問題や税務署、法務局といった会社を経営する上で必要な手続きで必ず不便となってしまうためおすすめはできません。
2・会社を設立する際のお金(資本金)等について
皆さんも一度は耳にしたことがある「資本金」というのは、
会社を運営していくためのお金となります。
昔は株式会社を立ち上げるには最低1000万円の資本金が必要でした。
しかし、会社法が改正され、今では資本金が1円の株式会社を作ることができるようになりました。
資本金をいくらにすれば良いのか
会社を作る際に「資本金をいくらにすれば良いのか」悩むかと思います。
一概にいくらと言うことはできませんが、
- 税金面
- 融資面
- 許可面
から考えて見ては如何でしょうか?
税金面で有利になる資本金額はいくらか
多くの売上げを上げると必ず支払うのが「税金」です。
ただし、新規に設立した会社は資本金額を1000万円未満に押さえることで一定期間「消費税」を納めなくてもよいことになっています。(消費税の免税については例外もあり、詳しくは税理士さんの業務のため割愛させていただきます。)
消費税の免税については、一部例外もあるため、
詳しいお話を聞きたい場合には税理士さんをご紹介いたします。
簡単に言えば、消費税の免税を受けたければ、
資本金額は1000万円未満にして、会社を作るということです。
融資面で有利になる資本金額はいくらか
会社を設立してすぐに軌道に乗る会社であれば良いのですが、
そもそもそのような会社はありません。
軌道に乗るまで、自己資金でまかないきれない場合には「融資」を考える必要もあります。
融資を受けるにあたって、資本金額は重要となります。
例えば、資本金を1円で立ち上げた会社と100万円で立ち上げた会社があるとします。
2つの会社とも200万円の融資を受けたいと銀行の担当者に相談をした場合、100%とは言えませんがそれに近い確率で資本金を100万円で立ち上げた会社に融資をするはずです。
一般的に考えると、資本金1円で立ち上げた会社には、信用度もなく資産もないことが一目でわかります。潰れそうな会社にはお金を出してくれるはずはありません。
細かく言うと、融資にあたっては資本金のみで判断することはありませんが、資本金が一つの目安となることは間違いありません。
融資をお考えの場合には、極端に低い資本金で会社設立をしてはいけません。
許可面で有利になる資本金額はいくら
一定の事業を始めるには届出や許可が必要な業種もあります。
例えば、建設業であれば500万円以上の工事を請け負う際には「建設業許可」が必須となります。
この建設業許可の要件の一つに「資産が500円以上あることの証明」が必要となるため、会社設立後すぐに建設業許可を取得する会社は資本金を500万円に設定しておけば、「要件の一つをクリア」できることになります。
資本金を500万円に設定していなければ、別途資産が500万円以上あることを銀行の残高証明書で証明する必要があります。
3・取締役・発起人について
会社設立を考えるときに「人」は重要な存在となります。
まず、会社を設立するときには、「お金を出資する人=発起人」「会社の運営を行う人=役員」を考えなければなりません。
発起人は会社設立に関してお金を出す人で会社の株式を取得する人でもあります。
会社の株を取得する人なので=「株主」と呼ばれる存在です。
株主は会社の運営に関して、一定の権限を持っているため(保有している株数による)会社を運営していく社長以外の人が出資金を出してしまうと運営に支障をきたしてしまうこともあります。
ですから、発起人の数は1~3人程度で設立後に会社を運営していく社長や役員に就任する人に限定しても良いでしょう。
そのことからも、近年は発起人と設立後に社長になる人の1人会社と呼ばれる会社が多くなっています。
役員とは
役員とは会社の運営に関して様々な決定を行う人を言います。役員には「代表取締役」「取締役」「監査役」などの種類があります。
代表取締役とは取締役の代表で取締役の中から選定され会社の代表となる人で会社の代表として、自らの意思で契約などを行うことができます。取締役は会社の運営に関して様々な決定を行う人ですが代表取締役と違い、自らで契約を行うことはできません。
監査役とはその名のとおり、監査をする人のことです。
何を監査するのかですが、会社の決算や取締役の仕事が適正に行われているのかなどを監査します。
会社の運営に直接関わらないので取締役会設置会社や大きな会社以外では監査役を設置する必要はありません。
近年設立する会社では、監査役を置く会社は珍しくなっています。
取締役になれる人となれない人
会社には必ず1名以上取締役を置かなければなりませんが、取締役になれる人となれない人がいる点に注意が必要です。 取締役になれない人
- 法人
- 成年被後見人または被保佐人。(認知症や精神障がいによって、自己認識能力が十分でない方)
- 会社法に違反したり、金融商品取引法などの特定の罪を犯して、刑の執行を受ける事がなくなった日から2年を経過していない人
- 何らかの法律に違反して禁固以上の刑に処せられ、その執行を終えていない人、またはその執行を受けることがなくなるまでの人
4・取締役の任期について
株式会社設立の際には必ず1人以上の取締役が必要となります。
取締役は会社の運営に関して様々な決定を行う人なので、会社設立に関して特に重要な決定事項です。
取締役には任期があり、原則「2年」と定められています。
原則2年ですが、例外的に最長10年まで延ばすこともできます。
どうすれば、10年まで任期を延ばせるのか?「譲渡制限会社」である場合には取締役の任期を10年まで延ばすことができます。
譲渡制限会社とは
株式の売買を制限している会社を譲渡制限会社と呼び、これを定款で定めることで取締役の任期を最長で10年とすることができます。
取締役の任期
取締役は1度選ばれたからと言って、ずっとその職に就いているとは限りません。任期が来れば取締役の職務を辞めなければならないと言うこともある一方、もう一度と言う声があれば、再度、取締役に任命されることもあります。
任期に関してのメリット・デメリット
任期が10年の場合のメリット
- 取締役の再任に伴う登記費用を削減できる
任期が10年の場合のデメリット
- 解任の場合を除いて、最長で10年間同じ人が取締役の椅子に座る
- 任期満了による登記手続きを忘れてしまうことがある
- 任期の途中で解任しづらい
任期が2年の場合のメリット
- 取締役に相応しくない人を早い段階で見限ることができる
- 任期満了による登記手続きを忘れない
任期が2年の場合のデメリット
- 取締役の再任に伴う登記費用が多くなる
任期が長ければ、他の取締役との意見が合わないときやその取締役の能力に問題がある場合でも解任する場合を除いて、10年間その取締役と会社を経営していかなくてはなりません。そのため柔軟な会社経営ができなくなるデメリットがあります。共同経営の場合も同じで初めは「会社を成功させる」という同じ目標に向かって進みますが、方向性の違いや考え方の違いが異なっていくこともあります。
そのように考えれば、取締役の任期は絶対に短い方が良いと思いますが、任期が10年でも問題ない会社もあります。
それは、取締役が1名で株主もその取締役の会社(今後も自分1人が取締役で株主の場合)であれば任期が10年でも問題ありません。
5・法人の印鑑について
法人も個人と同様に印鑑を用意する必要があります。
仕事の契約の際や銀行口座の開設、請求書や領収証に会社の印鑑を押すためです。
会社の印鑑は大別して3つあり、代表者印(実印)・銀行印・角印があります。絶対に3つ作らなければならないわけではなく、押し間違いを考慮して、代表者印の1つのみを作る会社も多いです。
ただし、絶対に作らなければならないのは「代表者印」で会社の登記の際に印鑑も法務局に登録します。印鑑登録をしないと会社の印鑑証明書を取得できないので、代表者印の作成とその印鑑の登録は絶対にしなければなりません。
法人の代表者印にはサイズの規定があり、大きさが10.0mm~30.0mmの正方形に収まるものと決められているので、この範囲の大きさで作成します。ネットで「代表者印」とググれば色々なショップが出てきます。